Klippel-Trenaunay SyndromeとParkes Weber syndrome

Klippel-Trenauney syndrome (KTS)とParkes Weber syndrome (PWS)は、ともに四肢、特に下肢の肥大を伴う疾患で、一見似ていますが、全く異なる疾患です. Klippel-Trenauney-Weber syndromeとつなげた名称をつけた論文もありますが、これは大きな間違いです.


KTSは、血流の遅い血管奇形を主体とする疾患で、PWSは、早い血流を主体とする疾患で、その症状や予後はかなり異なります.下にその比較表をあげます.





ADL: 日常の活動性、AVM: 動静脈奇形、CM:毛細血管奇形、LM:リンパ管奇形、VM:静脈性血管奇形


PWSはその早い血流、つまり動静脈シャントにより心負荷、心不全になる可能性があり、まれに突然死などの報告もあります.しかしKTSは遅い血流であり、心負荷、心不全になる可能性は全くなく、これによる突然死の可能性は全くありません.困ったことに、 Klippel-Trenauney-Weber syndromeと題した記載には、KTSとPWSの区別がないことから、上記の突然死を含め予後不良と書かれていることです.


具体的に例をあげれば、本邦の指定難病の分類(281番)でもKlippel-Trenauney-Weber syndromeと一括りとなっているため、個々の症例で予後が異なるにもかかわらず、最重症の突然死が重視され、保育園や小学校での普通の生活を拒否されるといった非科学的なことが起こりかねません.Klippel-Trenauney-Weber syndromeのような記載・診断をやめて、 Klippel-Trenauney syndrome (KTS)とParkes Weber syndrome (PWS)と鑑別するべきでしょう.またその鑑別は難しくもありません.



Vascular Bone Syndrome (血管-骨 症候群)

 

Klippel とTrenaunay の論文の原典へ


リンパ浮腫



参考文献

 

Klippel M, Trenaunay P: Du naevus variqueux osteohypertrophique. Arch Gen Med 185: 641-672,1900


Weber P: Angioma-formation in connection with hypertrophy of limbs and hemi-hypertrophy. Brit J Dermatol 19:231-235, 1907

 

 

2013.9.26 記、2017.2.14 追記

 

Top Pageへ