Vascular Bone Syndrome (血管-骨 症候群)
四肢の血管病変に伴い、局所または領域の骨・筋肉などが変化することが古くから知れています.特徴的な症候群には、人名がつけられ、それぞれの疾患が理解しやすくなっています.しかし、これらの症候群も診断機器の発達していない頃の古典的な記載であり、その定義が曖昧であったり、オーバーラップしたりするため、かえって混乱を招いています.そのため、そのようなルーツになった人名を使わず、共通の言語(分類)で疾患を理解し、治療に当たるべきでしょう.分類には、基本的にISSVAの分類を使い、血管病変は、high flowかlow flowか考え、合併する骨・筋肉などの変化が、過形成 hypertrophy/overgrowthなのか、低形成 hypotrophy/undergrowthなのかで分けて考えるべきです.
これらは、古典的な 1. Parkes Weber syndrome, 2. Klippel-Trenaunay syndrome, 3. Servelle-Martorell syndromeに対応します.静脈性病変がすべて古典的なKlippel-Trenaunay syndromeの3兆候は満たす病変とは限らず、毛細血管性奇形や静脈性奇形が下肢に存在すると考えるべき病態もあります.頭蓋内においても、骨硬膜動静脈瘻で、頭蓋骨の過形成の合併することは知られており、同じようなメカニズムが働いていると考えられます.
A: angio-osteohypertrophic syndrome:AV shuntやdeep vein aplasia/hypoplasiaによる.
B: angio-osteohypotrophic syndrome:AV shuntの合併は無く、arterial hypoplasiaやvenous hypoplasiaによる.
古くは、動静脈瘻による過形成は、高い局所の体温や高酸素濃度により骨の成長が促進されると考えられたこともありました.これは逆に動静脈瘻による盗血現象で、組織は相対的な虚血になっているので説明があわないともされます.静脈の鬱血や静脈性高血圧が骨の成長を促進するとも言われます.動静脈瘻や静脈性奇形における相対的な骨の成長点の虚血が、骨の過形成に関連していると考えられています.
2008.2.5 記