Juvenile Polyposis-HHT  (JP-HHT)

若年性ポリポージスとHHTの両者の特徴を持つ症候群


Juvenile Polyposis-HHT  (JP-HHT)



HHTとのoverlap syndromeの報告があり、Smad4遺伝子の変異が原因とされ、知識として知っておく必要があります.若年性ポリープ juvenile polypは、小児に多く、この名称で呼ばれますが、成人でも認められます.”Juvenile” 若年性という言葉は、ポリープのタイプについての言葉であり、ポリープが発見される年齢を言っているのではありません.通常は単発ですが、低頻度ではありますが多発性にも起こり、その時は、若年性ポリポージス juvenile polyposisと呼ばれます.症状は下血で、大きさは10-20 mmの有茎のポリープで、直腸とS状結腸に多発します.通常は癌とは関係はない良性疾患とされます.


若年性ポリポージス juvenile polyposisは、半数が常染色体優性遺伝し、より発癌性が高いという点で、若年性ポリープと異なります.以前は、若年性大腸ポリポージス juvenile polyposis coil (JPC)とも呼ばれ、その頻度は1/24,000出生とされています.通常は、大腸に病変がありますが、胃に限局してpolyposisがある場合や胃、小腸、大腸すべてにpolyposisが認められることもあります.症状は、下血で、その結果として貧血となります.蛋白漏出性胃腸炎や低栄養もまれに認められます.治療は、内視鏡的切除(ポリペクトミー)が行われ、この治療に限界がある場合には大腸の部分切除が行われます.



SMAD4の遺伝子変異を持ちJP-HHTの症状を呈する患者さんの中に、大動脈瘤や大動脈解離を合併する患者さんが稀のおられ、JP-HHTとの関連性が示唆されています [Teekakirikul P, 2013].Marfan症候群やロイス・デェーツ症候群は、ともにTGF-bata関連の遺伝子変異で起こるため、同じくTGF-bata関連の遺伝子変異で起こるHHT、特にJP-HHTと似た症状を呈することがあっても不思議ではありません.SMAD4の変異で起こるJP-HHTの場合には、大動脈病変の可能性を考え、エコーやCTで検査をするべきかもしれません.


Teekakirikul P, et al: Thoracic aortic disease in two patients with juvenile polyposis syndrome and SMAD4 mutations. Am J Med Genet A 161:185-191, 2013



JP-HHTの変異遺伝子:SMAD4

マルファン症候群の変異遺伝子:FNB1

ロイス・ディーツ症候群の変異遺伝子:TGFBR1, TGFBR2



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2007.6.13記、2011.7.11、10.22、2018.12.19 追記


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