Cobb Syndrome

コブ症候群と呼びます.


ヒトの脊髄は、概念的に31個のunitが、縦方向に連続して形成されます.一つ一つのunitには、脊髄、硬膜、椎体、筋肉、皮膚が所属します.このunitの形成過程に、何かイベントが起こると、同じunit内、つまり同じレベルの脊髄、椎体、皮膚等に、血管病変が認められることがあり、これを、最初に報告した医師の名前をとって古典的にコブ症候群、Cobb症候群と呼びます.成長とともに脊髄よりも脊椎の方が伸びるために、発生学的に同じunitであっても、脊髄病変の方が、椎体病変や皮膚病変よりも頭側に認められます.


 少し専門的な書き方をすれば、以下の様になります.


脊髄動静脈奇形と椎体・傍椎体・硬膜・筋肉・皮膚病変が、同じまたは近接する体節に認められます.皮膚病変は、僅かな色調の変化のみの場合や毛細血管・細静脈奇形(port-wine stain)の場合があります.ここで皮膚・筋肉など軟部組織の病変は、血管奇形であり、血管腫ではありません. 


コブ症候群は、cutaneomeningospinal angiomatosis とかspinal arteriovenous metameric syndromeともいわれる.1915年に脳神経外科の重鎮であったHarvey Cushingのレジデントであった若いCobb医師によって報告されましたが、彼の論文中にはCushingによりこの疾患概念を示唆されたとしています.Cushingは、対麻痺の8歳男児を診察し、背中の同じ体節レベルの皮膚の母班(naevus)を視て、先天性の脊髄腫瘍 (当時は、血管奇形もこのよう呼ばれました)と診断しています.Cushingは、この患者の硬膜を解放するだけ手術を行っており、手術記事には、”it seemed futile to attempt to ligate any of the vessels”と書いています.Cushingは、これより先の1906年に、顔面の母班(trigeminal naevi)と脳・硬膜奇形の関連を初めて示唆しており、これはSturge-Weber syndromeにあたります.


参考文献


Cushing H: Cases of spontaneous intracranial hemorrghage associated with trigeminal nevi. J Am Med Assoc 57:178-183, 1906


Cobb S: Heamangioma of the spinal cord associated with skin naevi of the same metamere. Ann Surg 65:641-649, 1915



ミーちゃんの折り紙


2008.4.22記、2014.1.24追記


Top Pageへ