ミーちゃんの折り紙
ミーちゃんからワンコとチューリップの折り紙をもらいました.
ミーちゃんは、今2歳ですが、生まれてすぐに、当院に転院してきました.前医での診断は、血管腫でした.血管病変のため心不全があり、生まれて5日目と18日目に血管内治療を行いました.診断は、血管腫ではなく、Cobb syndrome, コブ症候群で、脊髄や椎体、筋肉、皮膚に血管病変がありました.
大きな動静脈瘻をコイル等で閉鎖し、今では、薬も不要になっていて、全く元気なかわいい女の子です.
昨日の外来で、ワンコとチューリップの折り紙をもらいました.ありがとう!!
このワンコは、うちのマリちゃんに似てるかな.
この外来の時に、ママからいろんな質問を受けました.以下の前半がその時のやり取りです.外来での説明は、時間的な問題もあり十分でないことも多いので、他にも御聞きになりたいことはないですか?とメールでやり取りをしました.後半が、追加質問です.
ミーちゃんのママの質問
診察時に質問した内容
Q1.シャントは今後増えることはありますか?
A1. 基本的に、増えることはありません.血行動態の変化により症状が少し変わることはあるかもしれません.
Q2. 頸部を強打すると大量出血(内出血)を起こす可能性はありますか?
A2. 程度も問題もあると思いますが、通常の運動・外傷などが原因で、出血することはありません.脊髄動静脈奇形のある場合は、脊髄に出血することがあります.
Q3. あざが増えたり、大きくなると良くありませんか?
A3. 良い悪いの前に、あざの大きさが変わることはないと思います.
Q4. 血流(手先や足先、脳の先端)は、普通の子と比べどうでしょうか?
A4. ミーちゃんの場合、普通の子供と同じです.大きなシャントが残っていると、そちらに血流が取られたり、静脈側の圧が上昇し、血流が悪くなることがあります.後者は、静脈性高血圧と言います.
Q5. 左頸部が少し腫れているのは、太い血管がある為でしょうか?
A5. 太い血管があるというより、血管奇形があり、それに伴い、血流が多いこと、さらに軟部組織(筋肉、腱)が肥厚しているため腫れています.
Q6. 血管撮影による合併症(2%)とはどのような症状でしょうか?
A6. 血管撮影の合併症にはたくさんの可能性があります.脳梗塞、皮下出血、造影剤アレルギー、ショック、肺塞栓症、下肢塞栓症、血管破裂、血管穿孔、など挙げだしたら、きりがないぐらいです.ちょとした嘔吐、嘔気、頭痛などまで含めると、2%ぐらい起こるかもしれませんが、重篤な合併症の頻度はずっと低くなりますが、0%ではありません.
Q7. 来年入園予定ですが、健康面で病名はどのように記載すればよいでしょうか?
A7. 病名を正確に記入するのであれば、脊髄動静脈奇形、コブ症候群になりますが、幼稚園側が正しく理解するかは別問題です.
追加質問
Q8. 保険への加入はできるのでしょうか.
A8. 加入できるかどうかは、保険会社が判断することです.告知義務があるので、病名・病態を知らせる必要があります.実際、加入できるかどうかは、分かりません.
Q9. 娘と同じ様な病気を持つ患者会というのはありますか?
A9. 血管腫(主に顔面等の頭・頸部の血管腫)をテーマにした患者会はあるようです.Cobb症候群や動静脈奇形やシャント、さらに脊髄血管病変の家族会はないと思います.
Q10. 以前先生は、どこかの地点でもう一度塞栓をしないといけないような気がするとおっしゃいましたが、心臓が大きい為でしょうか?
A10. 小児循環器内科の先生が心負荷は殆どないということです.動静脈シャントを全く消してしまう治療は、ミーちゃんの場合、困難と考えます.従って、いかに共存するかを考えていく必要があります.塞栓術が実際に必要になるかは分かりませんが、臨床的に必要と思えば、血管撮影で、きちんと評価して、適応があれば、再度、塞栓術を行ないます.
Q11. コブ症候群のコブ(cobb)とは瘤とは関係ないのでしょうか?
A11. Cobbは、この疾患を報告した医師の名前で、「こぶ」ではありません.
2008.4.22記、4.30追記