小児慢性特定疾患治療研究事業とオスラー病
小児慢性特定疾患治療研究事業とオスラー病
小児慢性特定疾患治療研究事業の目的は、小児慢性疾患のうち、小児がんなど特定の疾患については、その治療が長期間にわたり、医療費の負担も高額となることからその治療の確立と普及を図り、併せて患者家庭の医療費の負担軽減にも資するため、医療費の自己負担分を補助するものです.
対象は、18歳未満の児童です.
対象疾患は、たくさんあるのですが、オスラー病(遺伝性出血性毛細血管拡張症:HHT)は、医学的にもおかしいにもかかわらず、何故か、血友病等血液・免疫疾患(血友病A、好中球減少症 等)の分類に入っています.
その他の慢性血液疾患の124番に、遺伝性出血性末梢血管拡張症(ランデュ・オスラー・ウェーバー(Rendu-Oslar-Weber)症候群)が入っています.
オスラー病は、血液疾患ではありません.だれがここに分類したか分かりませんが、そうなっています.従って、小児慢性特定疾患の申請書類(古い医療意見症.pdf)が、全く見当違いになっています.従って、この見当違いの申請用紙に、記載しても、オスラー病の子供は、小児慢性特定疾患として認められず、医療費の負担軽減にならない場合があります.
この書類が、今の日本におけるオスラー病の認識を現しています.きっとこの書類作成に関与した医師の認識は、オスラー病は、慢性血液疾患の一種であるといった程度で、明らかに適切な書類内容でないことに気がつかないのでしょう.
役所が、あまり内容も分からず、幸運にも認定をしてくれるか、内容を見て、該当せずと却下されるかのどちらかで、オスラー病の患者さんにとっては、不完全な補助制度になっています.
実際に、市町村の保健所から却下になる理由は、肺や脳の血管病変の治療で、塞栓術や外科的治療を受けているにも関わらず、医療意見書の中の治療項目「補充療法、G-CSF療法、除鉄療法、抗凝固療法、ステロイド薬、免疫抑制薬、抗腫瘍薬、再発予防法、造血幹細胞移植、腹膜透析、血液統制」の基準に合致しないためとされます.
患者会などから、厚労省への働きかけが無ければ、ずっとこの分類で、医療費補助が受けられない可能性があります.
厚労省のhome page
(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/boshi-hoken05/index.html)
オスラー病の小児慢性特定疾患に関して、医療意見書の書き方をうまくすれば、認められる可能性があることがわかりました.
1.現在の症状の項目で、「その他の症状」に記載する.
2.診断の根拠になった主な検査などの結果の項目で、「その他の検査」に記載する.
3.現在の治療の項目で、「再発予防法」に丸を付け、さらに記載する.
この意見書の例を参考にしてください.
2015年5月18日に このような状況の改善が 図られました.
疾患分類は、残念ながら血液疾患ですが、その内容の書き換えを依頼され、この項目の書き換えのお手伝いをしました.そのため文責は、日本脳神経血管内治療学会になっています.また意見書のformも変更になっています.
→ 小児慢性特定疾患 遺伝性出血性末梢血管拡張症(オスラー病)web page
→ 新しい意見書 意見書 2015 5.pdf
2012.2.19記載、2015.4.22.2015.6.24 追記