HHT 患者・家族会

 

HHT: 遺伝性出血性毛細血管拡張症の患者さんの相談を最近、良く受けます.


鼻血が止まらない人、脳動静脈奇形で脳出血を起こした人、肺の動静脈瘻で脳梗塞を繰り返した人、肺の動静脈瘻で肺出血した人、肺の動静脈瘻で呼吸困難になった人、若い頃から慢性に貧血で、内視鏡をしていても消化管出血を見逃された人、肺の動静脈瘻で脳膿瘍になった人、そしてこの病気の御家族・親戚で症状のない人、いろいろです.


共通しているのは、鼻血は耳鼻科、脳梗塞は、脳外科や神経内科、肺の動静脈瘻は肺内科や放射線科で診てもらうのですが、大学病院ですら遺伝性出血性毛細血管拡張症のことを、良く知らないことです.全体像をみて説明できる・してくれる医師がいない(少ない)ことです.


恐らく、大学病院の医師よりも、私のホームページを必死で読まれた患者さんやその御家族の方は、この病気について詳しいはずです.外来で、「遺伝性出血性毛細血管拡張症の患者さんは診たことはありません」なんて言うものですから、信用をなくしてしまいます.


私も何年か前まではそうでした.でも、一人患者さんを診ると、必ず数人の御家族もこの病気です.決して頻度の低い病気ではありません.しかし、残念ながら、この遺伝性出血性毛細血管拡張症は、難病にも特定疾患にも指定されておらず、行政からも疎外された疾患です.(何故か、小児慢性特定疾患になっていますが、全く関係のない血液疾患に分類されています).


欧米では、医師とタイアップした患者・家族会があり、かなりしっかりした情報提供をしています.日本では、遺伝子診断は、(簡単には)出来ませんが、欧米では、何カ所もそのような検査が可能な研究施設があります.


提言ですが、HHTの患者・家族会を作られていかがでしょうか? 今では、internet/web を使えば、以前よりは容易に立ち上げることが可能のように思います.いろんな疾患の患者・家族会があり、スタイルやその歴史はまちまちですが、このあたりで立ち上がる必要があるように思います.


この疾患は、私のような血管病変の専門家には、非常に興味ある疾患でもあります.その理由は、いくつかの原因遺伝子が分かっており、遺伝形式、症状等は100年以上前から良く知られていることと、この遺伝子が、血管形成時にどのように働いて血管病変が出来るといった血管疾患のモデルでもあるからです.患者さんが、病気について教えてくれる先生ようなつもりで、私はいつも接しています.



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2007.6.6 記


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