カサバッハ・メリット症候群のYちゃん

 

Yちゃんは、生後 2ヶ月の時にカサバッハ・メリット症候群で、呼吸困難や血液学的問題が起こり、治療を行いました.その治療経過は、論文で症例報告をしています.


Pediatric Neurosurgeryの論文へ:論文.pdf、掲載は2000年でした.


その彼女が、この4月から中学生になるということで、久しぶりに外来に来てくれました.2ヶ月の時は、重症患者さんでしたが、今は、元気な中学生で、Yちゃんというより、Yさんになっていました.小学生の時には、器械体操のクラブで活躍し、2年連続優勝するぐらいの元気一杯だったようで、トロフィーとメダルも見せてもらいました.外来では、そのメダルをつけて、二人で記念撮影を行いました.(お見せできないのが残念です.).


中学校では、テニスを始めるらしいです.古い論文では、カサバッハ・メリット症候群の死亡率は50%と書いてありますが、嘘の様に元気なYさんのこれからの成長・活躍が楽しみです.


上記の論文を見た、ブラジルの東北部に住む小児外科の先生が、生まれたばかりの自分の息子が、カサバッハ・メリット症候群で治療に難渋しているという、メールをいただき、相談をしたりもしました.


国内でも、大学病院といえども、多数の経験を持つところは少なく、いくつかの大学の小児科の先生からも相談を受けたことがあります.



追記5年ぶりに、Yちゃんに、偶然会いました.

18歳の彼女は、高校生で、インターハイに出場し、大活躍していました.


長期予後


カサバッハ・メリット症候群の患者さんの長期予後についての論文は、多くはありません.昔の高い死亡率の報告と異なり、今では、急性期の出血、感染、多臓器不全などの死亡率は、20-30%とされ、それを乗り切ると、縮小した腫瘤や皮膚の変色・繊維化が残存することもありますが、概ね、良好な予後とされています.このYちゃんが、その典型例と思います.


Kasabach HH, Merritt KK: Capillary hemangioma with extensive purpura: report of a case. Am J Dis Child 59:1063-1070, 1940


Enjolras O, Mulliken JB, Wassef M, et al: Residual lesions after Kasabach-Merritt phenomenon in 41 patients. Am Acad Dermatol 42:225-235, 2000



カサバッハ・メリット症候群へ



2010.4.5記載、2015.12.1 追記



Top Pageへ