肺の動静脈瘻のスクリーニング:造影超音波検査

HHT関連の肺の動静脈瘻のスクリーニングに、バブルを使った造影超音波検査が有用であることは良く知られています.しかし、治療後の経過観察に有効かどうかは分かっていません.


2003年にChestという雑誌に出た論文では、治療により血管撮影上、動静脈瘻が消えた症例でも80%で造影超音波検査の結果が陽性、つまりシャントが残っている、という結果でした.その解釈は、血管撮影でも写らない小さな肺の動静脈瘻(micro-AVF)があり、シャントが残存していると解釈するか、肺の動静脈瘻は全くないが、生理的なシャントが残存している、になります.


当院では、肺の動静脈瘻のスクリーニングは、酸素飽和度と肺の単純CTを行なっており、バブルを使った造影超音波検査はしていません..


最近、当院で治療した親子孫の3世代のHHT患者さんの3人ともに肺の動静脈瘻があり、その親御さんの治療後に同様の検査を行なってみました.CT上、肺の動静脈瘻は3カ所(右A8, A9, A10で、A9の栄養動脈は3mmも無かったです)で、血管撮影上、まったくシャントは消失したので、きっと超音波検査は陰性だろうと思っていました.しかし、論文の結果と同じで、僅かなバブルが検出できました.造影超音波検査の結果は、正確に言うと、陽性ですが、これは肺の動静脈瘻は全くても、陽性にあることがあり(8%)、肺動静脈瘻が残存しているとは、断言できません.


CTや血管撮影でも検出できない肺の動静脈瘻が、年単位でも大きくなることがあり、今後も経過を見ていく必要があると思います.


 
 A8 AVFの治療前後


 
 A9 AVFの治療前後


  
A10 AVFの治療前後




参考文献


Lee WL, Graham AF, Pugash RA, et al: Contrast echocardiography remains possible after treatment of pulmonary arteriovenous malformations. Chest 123:351-358, 2003



肺動静脈瘻とコントラスト心臓エコー検査


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2010.11.7記載、2013.8.8追記


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