新生児を含めた子供さんのオスラー病のスクリーニングについて


この場合、通常は、御両親の一方が、オスラー病です.しかし、子供さんは小さければ症状はなく、また鼻血も子供ではオスラー病以外でも認められることから、臨床的な診断基準(Curacau基準)は当てはまりません.


御両親の一方が遺伝子検査をされており、遺伝子変異が分かっている場合は、この情報を使い、お子様にこの変異部位だけの遺伝子検査を行います.同じ遺伝子変異がなければ、子供さんは、オスラー病は否定されます.遺伝子検査をされておられない場合は、まず症状のある御両親の遺伝子検査を行います.


遺伝子検査をすれば、オスラー病の遺伝子の END/ALK1/SMAD4の変異はわかりますが、これ以外の変異が10-15%あり、この場合は、遺伝子検査の結果は、変異が見つからなかった、または未知の遺伝子変異があるのだろう、という結果で、オスラー病は否定されるのではありません.


次に、御両親の一方と同じ遺伝子変異があれば、症状はなくても子供さんのオスラー病は確定です.この症状のないお子さんにスクリーニング検査をどこまでするべきかに決まったものはありません.ヨーロッパでは、あまりスクリーニング検査に積極的ではなく、逆に北米では積極的に検査が行われます.


子供さんの検査は、鎮静・麻酔下で行われます.従って、この鎮静・麻酔自身に危険があることを知って、スクリーニング検査の適応を考える必要があります.また、MR検査には、被曝はありませんが、CT検査には被曝が伴います.被曝に関しては、有用性が、マイナス面よりも勝る場合には、適応と考えることが多いです.


最後に、私の考えですが、遺伝子検査で、オスラー病が確定したお子さんの場合、御両親が納得されるのであれば、積極的に脳と肺のスクリーニング検査を行っています.前者は、MR検査で、後者はCT検査で、両者とも造影剤は使いません.場合によっては、バブル・心臓エコーの検査を行い、肺のシャントがある場合に、肺のCT検査に進む場合もあります.


遺伝子検査で変異が見つからない御家系の場合、 御両親が納得されるのであれば 子供さんの脳と肺のスクリーニング検査を行っています.



2015.7.23記載