肺動静脈瘻の治療後の再発
塞栓術後の再発
肺動静脈瘻の塞栓術後の再発には、いくつかの可能性があります.
1.新たな病変が出現する.
2.近位閉塞のためシャントが残存し、側副路から動静脈瘻が描出されるようになる.
3.不十分な閉塞で、再開通する.
4.肺動静脈瘻の血管構築が複雑complex typeで、根治が困難な病変で、シャント量が時間とともに増えてくる.
この4つの可能性があり、2と3は、不十分な治療または治療方法自身が問題です.1に関しては、新たな病変が短時間で出現することは少ないとされますが、HHTの場合は、このような可能性が否定されているわけではないので、定期的な診断(数年に一度)が必要でしょう.逆に、毎年CTで検査するのも意味がありません.私は、5年後にCT検査をしましょう、と患者さんに話すことが多いです.HHTでない場合は、この可能性はありません.4のcomplex typeの病変の治療自身が困難であり、姑息的に塞栓術でシャント量を減らすか、病変が1カ所であるならば外科的切除を考慮してもいいかもしれません.
問題なのは、主治医が治療するのではなく、放射線科に依頼して塞栓術が行われた場合、治療結果や今後の経過観察の必要性が、正しく患者さんに伝えられず、”治癒した” と思い込むことが少なくないことです.
他院で塞栓術を受けた患者さんの再治療時の右肺下葉の血管撮影.病変1、2、3が残存している.
1と2に向う栄養動脈にcoil 1が近位に置かれ、3の病変の手前にcoil2が置かれ、不十分な塞栓術がなされている.
追加治療中の画像.病変1は完全に閉塞され、病変2を静脈側から動脈側に向って塞栓している途中.カテーテルが、以前のコイルの中を通り病変に向っている.コイルの置かれている部位やその長さ・量の違いが分かる.
3つの病変の治療後.3病変とも完全に閉塞されており、静脈側から閉塞しているため再発の心配は無い.また動脈側に置かれたコイルの長さは短く、正常な肺を栄養する動脈の閉塞も最小限になっている.
2009.1.22 記、2022.2.24追記