指定難病

本日(2015.7.1)施行の指定難病で、このhome pageに関連ありそうな疾患を抜粋しました.




厚生労働省の健康・医療のweb siteへ  こちら


                    2015.7.1施行の指定難病   こちら


                    この中で、

                                     157      スタージ・ウェーバー症候群                                 概要        調査票.pdf

                                      227    オスラー病                                                               概要   調査票.pdf

                                 278    巨大リンパ管奇形(頚部顔面病変)                       概要   調査票.pdf

                                      279    巨大静脈奇形(頚部口腔咽頭びまん性病変)    概要   調査票.pdf

                         280    巨大動静脈奇形(頚部顔面又は四肢病変)             概要   調査票.pdf

                                 281    クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群         概要   調査票.pdf


      があり、それぞれに、概要、診断基準など、と、臨床調査個人票の記載があり、後者は

      ダウンロードして、医師に記載依頼が可能です.



「オスラー病の調査票」の問題点 2015 12.15 時点


オスラー病の調査票にいろんな問題があります.まず<診断のカテゴリー>ですが、例えば、オスラー病の御家族のお子さんで、鼻出血を含め、症状はないけれども、遺伝子診断でオスラー病の確定診断を受けた患者さんのチェック項目がありません.「Definite:症状(A-1、2)と検査所見(B-1、2)の中の3項目を満たし、遺伝学的検査(D)を満たすもの」ではなく、「Definite:症状(A-1、2)と検査所見(B-1、2)の中の3項目を満たすか、または遺伝学的検査(D)を満たすもの 」または「遺伝学的検査(D)を満たすもの 」だけにすべきです.


また「除外項目(C)の鑑別すべき疾患を除外したもの」と書かれた項目が3つあり、単純性肺動静脈瘻を除外していますが、これは肺病変に関して病変の形態についての記載であり、病因であるオスラー病の関与とは全く関係のない項目であり、医学的には不適切な記載と思います.また「各臓器における単純性動静脈奇形」と記載されており明らかに間違いです.Curacaoの診断基準を変更したのだと思いますが、国際的にも認められたオリジナルのCuracaoの診断基準を採用するべきだと思います.


  1. A.症状、2.「末梢血管拡張症」の項目に、オスラー病で特徴的な部位である「舌」がないのは欠点です.「口腔」の項目がありますが、口腔には、 口唇、 口蓋、歯肉、舌、口腔底、頬粘膜、咽頭などが入り、これらどこに 末梢血管拡張症病変があってもいいのですが、オスラー病でまず視診すべきは、舌です.

  2. B.「検査所見」に「2.家族歴」が入っているのも、医学的にはおかしいです.「1.内蔵病変」の肝臓の動静脈奇形ですが、肝動脈奇形と間違った記載がされています.


「人工呼吸器に関する事項」の記載項目が人工呼吸器の使用者のみにありますが、オスラー病の患者さんで人工呼吸器を慢性期に使用している方は、(殆ど)おられないと思います.従って、この項目は不要と思います.


これらの調査票の不備が、少なくとも今年度(平成27年度)は、改善されない、とのことです.(2015.8.10 現在).明らかにおかしいのを、改善しないのもどうかしていますが、遺伝子検査のみ、または遺伝子検査と家族歴のみ所見の子供さんなどの調査票の記載ができません.虚偽を書くのであれば、「Definite:症状(A-1、2)と検査所見(B-1、2)の中の3項目を満たし、遺伝学的検査(D)を満たすもの」にチェックを入れることになります.


この項目の文責である、「呼吸不全に関する調査研究」(研究代表者 千葉大学大学院医学研究院 呼吸器内科学 教授 巽 浩一郎先生 )のメンバーの方による、改善が望まれます.


以上のような問題の多かった初期調査票も改訂されたようです.日時は不明.


2018 1 17現在の調査票の問題点を指摘したいと思います.たくさんの患者さんの調査票を書いている感想です.


1.発症年月:オスラー病の場合、鼻出血が最初の症状のことが多いのですが、大人の患者さんにそれを聞いても、通常は、小学生高学年とか、40歳を過ぎた頃から、のような曖昧な返事しか返ってきません.ここに正確な年月の記載は不可能です.


2.末梢血管拡張症:この疾患の病変は末梢血管拡張ではなく、強いて言えば毛細血管の拡張、正確に言えばこの部分の形成異常です.疾患概念に関わることで、HHT: hereditary hemorrhagic telangiectasiaの和訳を、遺伝性出血性毛細血管拡張症とするべきでしょう.


3.内臓病変の中に、胃腸末梢血管拡張、とありますが、食道を含めた「消化管の毛細血管拡張病変」、とするべきです.


4.鑑別診断、の項目で、「オスラー病とは関係しない肺、脳、肝臓、胃腸、脊髄などの動静脈奇形」とありますが、この の意味がわかりません.この項目は、まったく不要か、または、「オスラー病とは関係しない肺、脳、肝臓、胃腸、脊髄などの動静脈奇形が、1.除外可、2.除外不可、3.不明」とするべきと思います.


5.遺伝子検査の結果を聞いているのですから、遺伝子検査も、保険収載され、保険医療で検査できるようにするべきでしょう.また、個人情報として非常に重要な項目:遺伝子の変異を、このような調査票に記載していいものか、考えるべきと思います.


6.診断のカテゴリー、ですが、Cに鑑別診断の鑑別すべき疾患を除外したもの、とありますが、医学的のCuracaoの診断基準では、鑑別すべき疾患を除外する必要はなく、この項目は削除する方が科学的です.なぜかというと、例えば肺の動静脈瘻が、オスラー病からきているのか、どうかなど分からないからです.


 

2015.7.1 記、8.7、8.10、8.13、12.25、2018.1.17 追記


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