血管腫と血管奇形はどこが違うの?

血管腫 (Hemangioma)

 

血管腫は生後1ヶ月以内にはっきりし、1歳まで大きくなるが5-8歳ころまでに自然に消えていきます [1].そのため血管腫は、その多く(概ね90%近く)が治療の対象になりません.場合により早く血管腫が消えるように少し前は、ステロイドの全身または局所投与やα-インターフェロンが投与され、今ではベーターブロッカーをまず試すことが多いです.この時期は、子供の御両親へ血管腫の自然経過を医師が丹念に説明し、安心してもらうことが重要な治療です.

 

この例外は、眼、鼻、口、気道、耳などの圧迫や閉塞症状のある場合や巨大な血管腫で心不全、出血、潰瘍、血小板減少がある場合です. これらは、急いで治療が必要です.早期に治療を必要とする血管腫や消退期を過ぎ残存する血管腫は、外科的切除術の単独治療や術前の塞栓術とそれに続く外科的切除術が適応となることがあります.

 

 

血管奇形 (Vascular malformation)

 

血管奇形は、生下時から存在し、異常血管から構成され、内皮細胞は正常ですが、病変自体は消えてはいかず、患者さんの成長とともに大きくなります.血管奇形は、動脈・静脈・毛細血管・リンパ管などを構成成分としており、動静脈ろう(動脈と静脈の短絡)を伴うこともあります [1].血管奇形は、さらに遅い血流が流れている病変と早い血流が流れている病変に分けられます [2].前者には、静脈・毛細血管・リンパ管などを構成成分とする病変であり、後者には、動静脈ろうを含めた動静脈奇形があります.また、これらの病変が混在した病変も存在します.

 

 

症状の悪化つまり病変が大きくなるということは、血管腫の場合は内皮細胞の増殖を意味し、血管奇形の場合は血行動態(病変の中の血流)の変化を意味します.

 

「海綿状血管腫」、「毛細血管血管腫」、「静脈性血管腫」などの名前は、混乱を招くので使うべきではなく、成人で認められる「血管腫」といわれるこれらの病変の多くは、血管腫ではなく、静脈性血管奇形や毛細血管性血管奇形やその混合型の場合が多いです.

 

まとめていいますと、血管腫は、子供の病気で、その90%は、勝手に消えていきます.つまり、残りの10%程度だけが、大人まで認められます.つまり、「血管腫と呼ばれる」大人の病変の大半は静脈性血管奇形ということになります.


いまでは、血管奇形・血管性腫瘍(血管腫を含む)の分類(共通言語として)に、国際的にISSVAの分類を使うことは常識になっています.

 


 


参考文献

 

1. Mulliken JB, Glowacki J: Hemangiomas and vascular malformations in infants and children: A classification based on endothelial characteristics. Plas Reconstr Surg 69: 412-420, 1982

 

2. Jackson IT, Carreno R, Potparic Z, et al: Hemangiomas, vascular malformations, and lymphovenous malformations: classification and methods of treatment. Plast Reconstr Surg 91: 1216-1230, 1993

 

  1. 3.Enjolras O, Mulliken JB: Vascular tumors and vascular malformations (new issues). Advences in Dermatology 13:375-423, 1998




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