52回日本形成外科学会総会・学術集会

2009年4月22-24日に第52回日本形成外科学会総会・学術集会 が、横浜であります


会長の東邦大学形成外科教授の丸山 優先生は、私が医師になった30年前の上司でした.



以下の、教育講演を、30分行います.


頭頸部領域の血管病変に対する血管内治療

Endovascular Treatment of Vascular Lesions in the Head and Neck Regions



頭頸部領域の血管病変の治療における問題点を、脳血管内治療医の立場から検討した.


【分類】Mullikenらの発表から20年以上経過したが、未だ腫瘍性と血管性病変の区別が明確でなく、「血管腫」という言葉が使われている.

【血管腫】レーザー治療の適応にコンセンサスは無く、基本は経過観察である.心不全や気道閉塞等のいわゆるalarming hemangiomaのみ治療の対象となる.Kasabach-Merritt現象を呈する病変は、 kaposiform hemangioendotheliomaであり、小児科と協力しながら治療を行う.

【血管奇形】low flowとhigh flowの鑑別が必須で、後者には、血管撮影を行い部位・血管構築を明らかにする.

【静脈性血管奇形】「血管腫」と呼ばれる多くの病変は、静脈性血管奇形でり、硬化療法が有効で、症例によっては外科的切除と組み合わせる.咽頭・喉頭の病変も気管切開下で治療可能である.

【動静脈奇形】最も治療が困難な疾患である.小さな病変では積極的治療が有効であるが、比較的大きな病変は、あまり症状が無ければ保存的な治療が勧められる.塞栓術を姑息的に行なうこともある.

【分節性病変分布を呈する疾患】 分節性に病変が認められることがあり、その認識が必要である. Wyburn-Mason・Sturge-Weber・Cobb症候群は、広い意味でmetameric vascular malformationと考えられる.

【全身性の疾患】Bean症候群は、全身性静脈性血管奇形で、脳病変を合併することがある.Neurofibromatosis type 1は、動静脈瘻を合併することがある.遺伝性出血性毛細血管拡張症は、顔面の毛細血管拡張や鼻出血だけではなく、肺・脳・肝の動静脈瘻も伴う.重症の鼻出血に対しては、鼻粘膜皮膚置換術や外鼻孔閉塞が適応になる.Phace症候群は、その部分表現形も多く、その関連を念頭において診断をする.


2009.4.20記


 

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