肺動静脈瘻とダイビング
オスラー病のガイドライン[1]では、肺動静脈瘻を持つ場合、またはオスラー病の患者さんで肺動静脈瘻が否定されない場合は、一生、ダイビングは避けるべきであるとしています.すでにダイビングを楽しんでおられる方もおられると思いますが、是非、避けるべきです.治療が終われば、本来はダイビングが可能になるはずですが、オスラー病の患者さんは、他に小さな動静脈瘻がある場合や治療が終わってると言っても、治療の方法によっては、2-5割の病変が再発するので、やはりダイビング避けるべきです.
ダイビング中には、高い気圧のせいで、下降中には、体の組織にガスが溶けています.しかし、上昇中には、組織内に飽和したガスが空胞 bubbleとなり、肺胞のフィルターによってこの空胞が除去されない限り減圧障害 decompression illness (DCI)を引き起こします.心臓や肺に右->左シャントがあるとダイバーは、減圧障害を起こすリスクがあります [2].右 → 左シャントを通過した空胞が血管を閉塞し(空気塞栓症)、脳梗塞になります.
もちろん肺動静脈瘻を持つ人が、ダイビングで必ず空気塞栓症を起こすのではないですが、肺動静脈瘻の大きさにも関連し、大きな肺動静脈瘻をもつ患者さんの一部に空気塞栓症が起こるとされています.
1. Faughnan ME, Palda VA, Garcia-Tsao G, et al. International guidelines for the diagnosis and management of hereditary hemorrhagic telangiectasia. J Med Genet 48: 73–87, 2011
2. Wilmshurst P, Bryson P. Relationship between the clinical features of neurological decompression illness and its causes. Clin Sci (Lond) 99: 66–75, 2000
2016.3.8 記、2016.4.1追記