子供の脳梗塞の初発症状

子供の脳梗塞の初発症状には、いろいろあります.周産期とそれ以降では、初発症状が異なります


周産期(生後一ヶ月以内):痙攣 seizure、無呼吸 apnea、仮死 hypotoniaなどが主な症状であり、中でも痙攣発症が多く、局所症状の乏しいのが特徴です.出生時に症状を認めた場合、出生前に脳虚血が起こっている場合と周産期に起こっている場合があると考えられますが、その鑑別は困難な場合が多いです.痙攣、無呼吸、仮死は、この時期に脳出血が起っていても同じ症状が認められます.


小児期生後一ヶ月を過ぎると、片麻痺 hemiplegiaが主な症状となります.他に、痙攣、頭痛、意識障害、行動異常や失語などの症状を呈するようになります.前方循環(頚動脈系、頭の前の方で、大脳を栄養する動脈)の脳梗塞が多く、後方循環(脳幹や小脳で、頭の後方の動脈)は10%以下とされます.片麻痺の原因として、脳血管障害以外に、痙攣後の半身麻痺 Todd postictal palsy, 半身麻痺を起こす痙攣 hemiplegic seizure, 脳出血(硬膜下出血や硬膜外出血) sub- or epidural hemorrhage, 低血糖 hypoglycemia, 小児期の交代性片麻痺 alternating hemiplegia of childhood, もやもや病などがあり鑑別が必要です.


また、半身麻痺で発症しているのも関わらず、救急病院で、「精神的な問題でしょう」「整形外科的な問題でしょう」「しばらく、様子を見ていたら良くなりますよ」「子供ではよくあることです」といった無責任な診断をされることがしばしばあります.また、もやもや病などでは、ずっと精神的な問題や精神発達障害として、病院で経過を診られ、脳血管の問題と随分後になって診断されることもあります.このような診断過程を経ると、御両親の医療に対する不信感や治療の遅れに対する怒りにつながり、患者さん・御両親・医師の関係が、ぎくしゃくすることがあります.


2011.6.16記 


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