小児の脳梗塞患者数


 

平成14年10月1日現在の推計人口(総務省統計局)によると、0-14歳までの子供の人口は、1,7948,000人である.子供の人口を約1795万人、年間3/10万人の脳血管障害の頻度 [1]とすれば、日本で年間約540人の新たな小児の患者が生まれ、出血性/虚血性疾患比を3/1とすれば、虚血性脳血管障害は、年間135人となり、新生児期を過ぎた子供の虚血性脳血管障害の頻度は非常に低いことが分かる.

 

日本ではもやもや病の患者さんが多く、大人も含め年間400人近く新たに診断されており [2]、このうち小児は、約50%程度と推測され、また多くは虚血で発症しているため、年間の小児もやもや病と新たに診断される患者は約200人となる.別統計から日本では小児の虚血性脳血管障害の80%がもやもや病であることから [3]、逆に計算すると、日本での小児の虚血性脳血管障害は、年間250人であり、内訳はもやもや病が200人、それ以外の原因が50人となる

 

合衆国でのデータから推測した日本での小児虚血性脳血管障害の年間135人とギャップがあるが、疾患内容が異なるためか、日本ではもやもや病が多いので虚血性疾患の比率がより高く、出血性/虚血性疾患比が1/1程度であるか、もしくは年間の虚血性脳血管障害の発生頻度が3/10万人ではなく、実際には6/10万人程度あると考えられる.合衆国でももやもや病やその類似疾患はあるが、頻度は非常に低く、逆に合衆国のAfrican blackによく認められる鎌状赤血球症 sickle cell diseaseは日本では認められない.

 

1. Lynch JK, Hirtz DG, deVeber G, et al: Report of the national institute of neurological disorders and stroke workshop on perinatal and childhood stroke. Pediatrics 109:116-123, 2002

 

2. 小宮山雅樹: もやもや病、available at:  http://www003.upp.so-net.ne.jp/moyamoya/

 

3. 松本 悟、藤田勝三、江原一雅、他:我が国における小児脳血管障害の実態について –全国調査より-.厚生省神経疾患「発達期における脳循環障害調査研究班 昭和62年度研究報告書」.159-170,1988年3月

 

2006.9.23記


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