脊髄梗塞
脊髄梗塞の頻度は低く、脳卒中の1/50-1/100の頻度とされています.その原因もはっきりしないことが多いです.その予後は、発症時の神経学的な重症度を良く反映するといわれています.脊髄を栄養する脊髄動脈の閉塞の場合と脊髄内の動脈の閉塞による場合があります.原因として、動脈硬化、塞栓症、大動脈解離、大動脈手術、硬膜外麻酔、ショックによる低血圧、血管炎、凝固系の異常、椎間板ヘルニア、梅毒(1909年にSpillerが梅毒による前脊髄動脈症候群を報告しています.恐らく最初の脊髄梗塞の報告と思われます)などがあげられます.
閉塞する血管による分類もあり、anterior spinal artery, sulcal artery, posterior spinal artery領域の梗塞と記載されます.動脈性の梗塞だけでなく、脊髄の静脈性の虚血や梗塞もより低頻度であるが起るとされています.また症状からBrown-Squard症候群や横断性梗塞などとも記載されます.
数分以内に症状が出現する場合や数時間経過して出現する場合もあります.梗塞の部位にもよりますが、症状には、背部痛、しびれ感、四肢や下肢の麻痺や知覚障害、失禁などがあります.
画像は、急性期では拡散強調像が有用とされ、それを過ぎるとT2強調画像中心に検査が行なわれます.T2強調画像の矢状断でpencil-like 高信号の病変や軸位像で、snake eyesと呼ばれる灰白質の梗塞像等が有名です.
予後は、早期の治療や初期の重症度 によりますが、概ね良好なことが多いとされています.
文献
Spillaer WG: Thrombosis of the cervical anterior median spinal artery, syphilitic acute anterior poliomyelitis. J Nerv Ment Dis 36:601-613, 1909
亀田知明、他:脊髄梗塞14例の臨床像および予後の検討.脳卒中 32:351-356, 2010
Nedeltchev K, Loher TJ, Stepper F, et al: Long-term outcome of acute spinal cord ischemia syndrome. Stroke 35:560-565, 2004
2013.4.3 記