ホームページを通じたメールのやり取り
先日、講演のため訪れた高松、雨の栗林公園
このホームページを通じて多くの患者さん自身やその御家族とお話・メールのやり取りをすることがあります.その内容・傾向について御紹介します.
1.肺の動脈脈瘻、特に遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)に絡んだ内容が多数あります.多くのメールの分かることは、この病気の全体像を理解した医師が少ないこと、肺の専門家でも 肺の動脈脈瘻の症例をあまり診たことがないこと、 肺の動脈脈瘻のことだけ診て、脳のことは放ったらかしになっていること、などです.
2.血管腫の用語の意味が、医師によって異なること、従って自然に消えて行く血管腫に対して手術を奨める医師もいること、レーザー治療が必要・有効であると思っている医師の多いことが分かります.
3.カサバッハ・メリット症候群の患者さんの深刻なメールもいただきます.とくに主治医がこの病気を診たことがないことを御両親に告げ、治療をすすめていることです.経験がないことは仕方がないのですが、自信無気に治療をすすめるため、御両親の不安がつのるわけです.考え方の違いがありますが、ステロイドを投与して効果がない場合、すぐに放射線治療を行っている施設があることにも気づきます.インターフェロンやオンコビンをまず試してみるべきだと思います.
4.脳動静脈瘻の疾患(ガレン大静脈瘤や脳硬膜動静脈瘻)の相談を受けます.最近来られたガレン大静脈瘤疑いの赤ちゃんは、診断が異なりガレン大静脈瘤ではありませんでした.ある脳硬膜動静脈瘻の赤ちゃんは、出生3時間後に最初の脳血管内治療を行い、元気にされています.
5.脳梗塞のお子さんの相談も受けます.痙攣や片麻痺、意識障害で発症することが多く、大人と異なり経験のある医師は少ない疾患です.多くの場合、再発は少なく、予後は良好の場合が多いですが、精神発達の遅れをみることもあります.
6.多発性血管奇形の患者さんで症候性に起こる場合があり、どの診療科を受診していいか分からない場合があり、たらい回しになる場合があります.ある診療科ではその科の領域だけ診て、他の領域は分かりません、となってしまします.広い範囲を一人で診るのは難しいわけですが、他科とチームで診れる体制が必要です.
7.主治医の先生の説明が分からない、主治医に聞きにくい、という意見を良く聞きます.自分の説明も同じ状況であることがあるかもしれません.私の場合、入院患者さんには、必要であれば、いつでも説明をまたします、朝夕、回診をしているので遠慮なく御聞きください、を言うようにしていますが、外来の患者さんには限られた時間で十分に説明するのは不可能に近いと思います.メールで上記のような相談を受けると、必ず「主治医に詳しく御聞きください」と返事をします.多くの場合、「主治医にがんばって聞いてみます」という返事が返ってきます.
2006.9.16記