ブタの脳血管

 

ある医療機器メーカーの実験施設でブタを使った実験を行なって来ました.ヒトと少し血管構築が異なるのですが、動脈瘤の実験や動静脈奇形の実験モデルとして使われます.以下は、正常なブタの脳血管です.ブタには、rete mirabileという血管網があり、非常に稀にヒトでも同様な構造が認められます.



ブタの上行咽頭動脈とrete mirabile


ブタswineの内頚動脈は、上行咽頭動脈からrete mirabileを介する血流で栄養される.総頚動脈(径は約5 mm)は、外頚動脈と上行咽頭動脈(径は約2-2.5 mm)に分岐する.ブタの脳への血流は上行咽頭動脈からが殆どで、後方循環の役割は小さい.この上行咽頭動脈は頭蓋内に入る直前でいくつかの細動脈に分かれforamen lacerumを通り、さらにrete mirabileを経て、短い内頚動脈になる.両側のrete mirabileは互い
に交通を持ち海綿静脈洞によって囲まれる.上行咽頭動脈は総頚動脈からの分岐直後に後頭動脈を分岐し、そしてreteまでの途中で筋肉枝を分岐する.この二分枝は、反対側の同じ動脈や椎骨動脈の枝と吻合を持つ.外頚動脈は顎動脈になり中硬膜動脈を分岐し、さらに末梢でexternal ethmoidal arteryやciliary arteryを分岐する.中硬膜動脈からの枝のramus anastomoticusが、また顎動脈の遠位から直接のarteria anastomoticaもorbital fissureを通り、rete mirabileを栄養する.この2吻合枝の径は1 mm以下である.上矢状洞や横静脈洞の血流は、大半は脊髄の硬膜外静脈叢に流出する.reteの径は、70-275μm、平均154μmとされる.実験AVMの形成にこのブタのreteが使われる.

血管撮影像は、上が正面像、下が側面像.


このreteを脳動静脈奇形に見立てて、いろんな塞栓実験が行なわれることがあります.



2007.9.24 記.



Top Pageへ