傍脊椎動静脈瘻

脊柱管外(当然、硬膜外)で起こる動静脈瘻で、硬膜内へ逆流 (pail reflux)する場合や硬膜外の静脈拡張によるmass effectで進行性の脊髄症状を呈する場合がある.無症状の場合もあるが、他の症状としては、皮下の拍動性腫瘤、雑音、心不全、脊髄出血、脊柱の変形などがある.頸髄レベル、特にC1-2, C7レベル、での若年者に多いvertebro-vertebral AVFを同じカテゴリーに考える場合もある.症例毎に経動脈的塞栓術や経静脈的塞栓術を選ぶ.


傍脊椎動静脈瘻の中のsubgroupとして、小児期(2-3歳頃)に無症状で、雑音のみで発見されるhigh-flow, single-holeの動静脈瘻がある.神経根に沿ったsegmental arteryを栄養動脈とし、神経孔にシャントを持し、硬膜外・傍脊椎の静脈叢に導出する.軽度の心負荷を伴うことがあるが、通常、持続性の雑音以外症状がなく、その自然経過が分からないことから治療適応に決まったものはない.雑音は、心雑音や動脈管遺残(PDA)、肺の動静脈瘻による雑音と診断されることが多い.


MRでは、硬膜外や傍脊椎の静脈叢にflow voidが認められるが、硬膜内のflow voidや脊髄自身のT2変化等異常所見は認められない.血管撮影では、硬膜外や傍脊椎の静脈叢の早期描出、さらにazygos-hemiazygos veins, 上・下大静脈や右心房の早期描出が認められる.pial refluxはないが、無症状の心負荷、静脈性高血圧、神経根圧迫などが症例的にどのような経過を辿るか不明であるが、長期間には症候性になることも十分考えられ、治療自身のリスクが低いため塞栓術が選択される.ただ塞栓術時には、同じsegmental levelから分岐している可能性のあるradiculomedullary veinを介した前脊髄動脈への塞栓性合併症は避けなければならない.


参考文献


Niimi Y, Berenstein A, Fernandez PM, et al: Pediatric nonvertebral paraspinal arteriovenous fistulas along the segmental nerve: clinical, imaging, and therapeutic considerations. J Neurosurgery (Pediatrics 2) 103:156-162, 2005



2008.8.18記


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