頭部MR検査で、脳深部が白い!!

 

オスラー病の患者さんの脳病変は、大きく分けて2種類あります.


1.脳に血管奇形がある.


これによって脳出血やてんかん発作が起こります.患者さんの10-20%にこの脳病変があります.


2.脳梗塞と脳膿瘍がある.


肺の血管奇形のため、血栓や細菌が、肺を抜けて、全身に回ることがあり、「奇異性塞栓症」と言います.脳梗塞になったり、脳に膿が溜まる脳膿瘍になったりします.患者さんの50%に肺の血管奇形があります.


この1と2の病変は、type 1のオスラー病の患者さんに多いです.


これらのために、脳のスクリーニング検査を行います.肺のスクリーニング検査も必要で、当院では、一連で行っています.


3.淡蒼球がT1強調画像で白い.


脳は、MR検査を行い、血管奇形がないか?脳梗塞の跡はないか?などを見ますが、両側の脳深部、正確には淡蒼球や黒質がT1強調画像で白く映ることがあります.これは、肝臓で代謝されないマンガンが、全身を回りながら、脳に沈着していることを表しています.脳の検査をしたのに、肝臓に血管奇形があることが診断されます.これも正確に言うと、「門脈-大静脈シャント」の存在が、分かるわけです.血中のマンガンの濃度を測定すると正常範囲を超えた高いことが多いです.この門脈-大静脈シャント自身が、症状を出すことはあまりありません.稀に、パーキンソン病の症状を出すことがありますが、この2次性のパーキンソン病は、抗パーキンソン薬(L-ドーパ)が効きにくいとされています.


肝臓の血管奇形には、この「門脈-大静脈シャント」以外に、肝臓には「動脈-静脈シャント」「動脈-門脈シャント」があることがあり、こちらは、造影のCTやMR検査が必要です.脳の血管奇形と異なり、肝臓の血管奇形は、type 2のオスラー病の患者さんに多いです.



2015.1.7記載


  









典型的な淡蒼球の高信号











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参考文献


Baba Y, Ohkubo K, Hamada K, et al: Hyperintense basal ganglia lesions on T1-weighted images in hereditary hemorrhagic telangiectasia with hepatic involvement. JCAT 22:976-979, 1998


Yoshikawa K, Matsumoto M, Hamanaka M, Nakagawa M: A case of manganese induced parkinsonism in hereditary haemorrhagic telangiectasia. J Neurol Neurosurg Psychiatry 74:1312-1314, 2003




2015.1.7記載



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