脳血管内治療(JNET)創刊

 

日本脳神経血管内治療学会official journal 機関誌「脳血管内治療」、英語名:Journal of NeuroEndovascular Therapy (JNET)が創刊しました.


私は、初代の編集長を勤めています.この1年間全くゼロから創刊にまでやっと持って来れました.年末かもしくは年始に創刊号が、学会員(約2,300名)の手元に届きます.


編集長としての挨拶を載せています.以下が、その内容です.



JNET創刊にあたり


古い原著を読むのが私は好きです.著者の考えが時代を超えて、伝わって来る気がします.最近、診察したSturge-Weber syndromeの子供さんについて調べる過程で、LondonのRoyal Free Hospitalの神経内科医William Allen Sturge (1850-1919)の書いた6歳児の症例報告 [1]を読みました.彼がこの論文を書いたのが1879年の29歳の時であり、今でも簡単に原著が手に入ります.当時、てんかんを勉強していたSturge青年とこの論文を通して会話できるような気がするのも、彼が残した症例報告のおかげです.このように、あとでreferenceされる論文が書くのが無類の喜びです.


私がはじめて書いた論文が、大学を卒業して8年目の今からちょうど20年前のことです.当時、MR機器が日本にも導入された時期で何か発表をしたいと思いました. Harvardの院生であったRaymond Vahan Damadianが1971年にScienceに書いたT1とT2緩和時間を測定すれば癌が分かると言う有名な論文 [2]があり、それに対する脳腫瘍でのnegative dataの論文でしたが、当時のAmerican Journal of Neuroradiologyのeditorに手伝ってもらいながらairmailでのやり取りで、revisionを繰り返したのを今でも覚えています [3].初代のJNETの編集長としてそのような役割をも果たせれば、せめてもの恩返しかと考えております.


Internet時代になり、communicationの手段も変わり、日本と外国との距離を感じない時代になりました.日本では新しいdeviceや塞栓物質が早期に使えない等、諸外国に比べて遅れており、そのことがことさら強調されて来ました.それも事実ですが、硬膜動静脈瘻のpin-point occlusion、動脈瘤塞栓術のdual catheter technique、完全閉塞脳動脈の慢性期再開通などに代表される日本発信の情報も数多くあるように思います.


日本の脳血管内治療のforum的役割と日本から世界に向けての情報発信の礎としてJNETを皆様と一緒に育てていければと思います.JNETを良くするも、悪くするも、皆様のJNETへの情熱、つまり投稿論文にかかっています.駆け出しの機関誌ですが、皆様とともにその役割を果たせるように努力したいと思います.


JNET編集長

大阪市立総合医療センター

脳神経外科 小宮山雅樹


  1. 1.Sturge WA: A case of partial epilepsy, apparently due to a lesion of one of the vasomotor centres of the brain. Trans Clin Soc Lond 12:162-167, 1879

2. Damadian RV: Tumor detection by nuclear magnetic resonance. Science 171:1151-1153, 1971

3. Komiyama M, et al: MR imaging: Possibility of tissue characterization of brain tumors using T1 and T2 values. AJNR 8:65-70, 1987



2007.12.18 記


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