H君の優秀読書感想文:『ジェニファーと不思議なカエル』を読んで

小学校高学年のH君の読書感想文が、学校で「優秀」に選ばれました.彼は、当院で3回の血管内治療を受けました.「病気のため」ほとんど本も読まなくなった彼が、去年の春休みの1回目の治療の帰りの新幹線で、マンガを読んでいるのを見て、御母様が驚いたと言っておられました.そして、去年の夏休みの3回目の治療の後に書かれたのがこの感想文です.病気になった思いや病院でのがんばりが書かれています.今では、家でも学校でも、見違えるように、元気で活発に過ごしているとのことです.


ジェニファーのように


ぼくは、この夏休みに三回目の手じゅつを受けました。退院した後にこの本を読み始めました。


ジェニファーは、一ぴきのヒキガエルを買ったために、友達や兄弟をまきこんで、ま女と戦うことになりました。自分の顔がぶさいくだと思い、いつも落ちこんでいたジェニファーが、仲間のために戦っていくうちにびっくりするくらい強くなりました。最後には、「かがみにうつる物などたいていはまちがいばかりだ。」という言葉が、ま女にだまされそうになっていたジェニファーの心を動かしました。あんなぶさいくな自分がきらいだったのに、心の美しさを選んでカエルを守ったのです。だから自分も巨大なカエルから元のすがたにもどることができたのです。


ぼくは、大さかの病院に入院している間にたくさんの人に会いました。ぼくを助けてくれたお医者さん、やさしいかんごしさん、がんばっている友達や赤ちゃん。ジェニファーもたくさんのピンチを友達といっしょに、のりこえます。ジェニファーをばかにしていじめていたシャーラも、だんだんとやさしくなりました。シャーラも、一回カエルに変身させられていて、こわい思いがわかったからでしょう。ジェニファーもシャーラのやさしさがうれしくて、力がわいてきたんだと思います。


ぼくは、去年初めてお母さんから頭の病気があると聞いた時、何でぼくだけこんなにいたい思いをしなければいけないのだろう、みんなはいいなとイライラしていました。でも入院すると、病院にはいろいろな人がいました。車いすの人、話すことが苦手な人、手足の不自由な人など、ふつうの人とようすのちがう人たちがたくさんいました。病気なのに明るくてびっくりしました。みんなと楽しくゲームなどで遊んでいるうちに友達になりました。小さい子が、泣かないで注しゃをがんばっていてすごいのです。ぼくもがんばろうと思えました。同じ病室には、入院して一年になる六年生の男の子がいました。その子は、ぼくの手じゅつの時いつも「がんばって。」と病とうの出口まで見送ってくれました。時々口げんかもしたけれど、ぼくの退院の時は、姿が、見えなくなるまで何度も「バイバイ。」と大きな声で手をふってくれました。ぼくも力一杯手をふりました。そして心の中で「ありがとう。」と言いました。


ジェニファー達は、戦っていくうちにおたがいの心が見えるようになって、本当の友達になれたのだと思います。みかけだけでは、人はわからないものです。なぜなら、本物にはやさしい心があるからです。ぼくもジェニファーのように、かがみの中のにせものに負けずに本当の心の見える人になって、たくさんの友達を作りたいです。そして、病院でやさしくしてもらったことをわすれないで、病気に負けず、いろいろなことにチャレンジしていきたいです。


(ジェニファーと不思議なカエル 講談社)


2007.1.15記


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