HHTの遺伝子型と表現型

Letteboerらの2006年の論文から



HHTは、常染色体優性遺伝をする疾患で、多臓器に血管奇形が発生することが知られています.つまり皮膚粘膜に毛細血管拡張 telangiectasiaが、肺、脳、肝臓に動静脈奇形・瘻が認められます.HHT1とHHT2は、endoglinとALK-1の遺伝子の変異が原因であることが分かっています.しかし、同じ遺伝子変異であるのに家族間 interfamilial variabilityや家族内 intrafamilial variabilityに症状が異なることも良く知られています.


肺動静脈瘻 pulmonary AVFは、HHT1に多く(48.7%)、HHT2により少なかった(5.3%)脳の動静脈奇形・瘻は、HHT1に多く(14.6%)、HHT2には少なかった(1.3%).肺動静脈瘻と脳の動静脈奇形・瘻を併せ持つ患者さんは、HHT1のみに認められた.肝動静脈瘻は、HHT1に少なく(7.6%)、HHT2で多かった(40.6%).消化管の毛細血管拡張は、HHT1とHHT2の間で、差がなかった.


肺動静脈瘻は、HHT1で女性に多く、男性により少なかった.肝動静脈瘻は、HHT1とHHT2ともに女性に多かった.


HHT1の方が、臨床的にHHT2よりも重症であった.このよう結果は、遺伝子検査の結果、変異遺伝子が判明している場合、遺伝カウンセリングがより正確に行なわれることを示しています.


参考論文


Letteboer TGW, Mager JJ, Snijder RJ, et al: Genotype-phenotype relationship in hereditary haemorrhagic telangiectasia. J Med Genet 43:371-377, 2006


参考図書

小宮山雅樹:神経脈管学、メディカ出版、大阪、2012


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2012.7.5 記


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