189人のHHT患者さんの臨床像

今年の脳神経血管内治療学会の総会が、2016 11 24-26に神戸であり、オスラー病の患者さんについて発表します.大阪市立総合医療センターで診察・加療を行なった189人の患者さんの検討です.



目的:本邦における遺伝性毛細血管拡張症(HHT)の臨床的な特徴を検討する.


方法:当院のHHTのデータベースの後方視的検討.対象は、臨床的HHT確診症例(Curacau criteria 3-4 points)または遺伝子検査にてHHT関連遺伝子の変異があった189名の患者.男性97人、女性92人、年齢1-82歳(平均39.7歳)であった.ENG変異を持つHHT1患者94人(47家系)、ALK1変異を持つHHT2患者56人(35家系)、SMAD4変異を持つ患者は0人で、既知のHHT関連遺伝子変異を認めないが臨床的HHT確診症例が16人(9家系, 8.5%)であった.残る24人は、遺伝子検査を行っていない臨床的HHT確診症例であった.小児症例の一部を除き、少なくとも非造影の脳MRI/MRAと非造影の肺CTを行い、脳AVM/AVFと肺AVFのスクリーニングを行った.症例によって造影の脳MRI(capillary vascular malformationも検索)や造影の脊髄CT・肝臓のdynamic CT(AV shunt, AP shuntの検索)、心臓エコー検査(右→左シャント、肺高血圧の検索)も行った.肝臓のPV shuntの検索は脳MRIのT1強調画像の高信号の有無で行った.


結果HHT1患者94人、HHT2患者56人、全患者189人(結果の表示はこの順).HHT1とHH2罹患者数の比は、患者数比で1.7、家族数比で1.3 であった.鼻出血(90, 53, 182人:95.7, 94.6, 96.3%)、毛細血管拡張病変(60, 47,133人:63.8, 83.9, 70.4%)、脳動静脈奇形・瘻(29, 2, 39人:30.9, 3.6, 20.3%)、肺動静脈瘻(62,10, 98人:70, 17.9, 51.9%)、肝動静脈瘻(23, 42, 86人:24.5, 75, 45.5%)、消化管血管病変(15, 14, 39人:20, 25, 20.6%)が認められた.脳梗塞(18, 2, 23人:19.1, 3.6, 12.2%)、脊髄動静脈奇形 (1, 1, 2人:1.1, 1.8, 1.1%)、脳膿瘍(1, 1, 3人:1.1, 1.8, 1.6%)、肺高血圧症(2, 1, 3人:2.1, 1.8, 1.6%)が認められた.


結論HHT1/2の罹患者数比は、患者ベースで1.7、家族数ベースで1.3 であった.臨床症状は、鼻出血(96%)や毛細血管拡張病変(70%)と高頻度で認められ、HHT1は脳動静脈奇形・瘻(31%)と肺動静脈瘻(70%)が多く、HHT2は肝動静脈瘻(46%)が優位に多かった.


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2016.7.22記、11.16追記