オスラー病って、どんな病気なの?

 

オスラー病の患者さんの御両親のどちらかは、オスラー病です(98%).あなたからオスラー病が、始まることは、2%ぐらいでほとんどありません.

オスラー病の親御さんの1対ある染色体の一方の染色体にオスラー病の遺伝子に病的な変異があったはずです.その親御さんから正常染色体と病的な遺伝子変異を持つ染色体のどちらかが、50%の確率であなたに遺伝しました.

変異のある遺伝子の情報で、身体の血管を作る時に重要なタンパク質を作ります.そのタンパク質の量が、オスラー病の患者さんは、普通の人の半分しかないため、正常な毛細血管や細い静脈を形成せず、異常な血管が形成されます.

この異常な血管は身体のどこにできてもいいのですが、好発部位があり、それが皮膚・粘膜、脳、肺、肝臓、消化管なわけです.あなたの親御さんとあなたは、全く同じ遺伝子の変異があるのですが、必ずしも同じ場所に血管奇形ができたり、同じ頃に症状を出すとは、限りませんが、その理由はよくわかっていません.

この血管奇形・病変が、皮膚・粘膜にできれば、その好発部位は、手指、口唇、舌、口腔粘膜、顔面の毛細血管拡張病変 であり、肺にできれば、動静脈ろう、脳にできれば、脳血管奇形であり、肝臓にできれば、血管奇形、さらび消化管にできれば、毛細血管拡張病変になります.

血管奇形には、動脈から直接、土管が静脈につながるような動静脈ろう、もあれば、動脈と静脈の間に、ナイダスと呼ばれる異常血管網ができ、毛細血管拡張病変 は、動脈と静脈の間に本来ある正常な毛細血管は形成されず、異常な毛細血管が形成されることをいいます.

肺に病変があると、酸素の交換率が悪くなり、呼吸不全になったり、出血して肺出血や胸腔内出血を起こしますが、一番問題なのは、血栓や細菌が、病変をすり抜けて脳に飛んでいき、脳梗塞や脳膿瘍になることです.

脳に病変があると、脳出血が起こる場合があり、その出血場所に関連する症状(片麻痺や失語症など)をだします.けいれんを起こすこともあります.小さなお子さんには、脳動静脈ろうは形成され、脳の機能障害や出血を起こします.

皮膚・粘膜に起こる 毛細血管拡張病変は、出血を起こします.最も顕著なのが、鼻粘膜からの繰り返す鼻出血で、多くは20歳頃までに、鼻出血は始まりますが、保育園の頃から始まる子供もいれば、50歳を過ぎてから始まるひともいます.

消化管、特に胃の毛細血管拡張病変から、慢性の出血を起こすことがあります.吐血や下血を起こす患者さんもおられますが、多くは、そのような急性出血は起こさず、慢性の経過を辿ります.鼻出血の程度に、見合わない高度の貧血があると、この消化管出血を疑い検査を行います.

肝臓の血管奇形も半数以上に患者さんに認められますが、肝臓はゆとりのある臓器で、症状はなかなか出ません.ただ、オスラー病の2型の中年以降の女性は、症状を出すことが多く、血管奇形による短絡血流が多いため、心不全を起こしたり、2次性の肺高血圧症になることがあります.

いろんな臓器に血管奇形ができる可能性があるので、全て検査をする必要があるのでしょうか?このなかで、肺と脳の血管奇形の診断は強く勧められます.またご家族、特にお子さんの診断に有用な遺伝子検査も、強く勧められます.

遺伝子検査や難病の認定を受けると、オスラー病の診断が確定し、保険に加入するときに不利にならないか、と考えがちですが、遺伝子検査や難病の認定をする、しないにかかわらず、すでにあなたはオスラー病の診断なわけです.必要な遺伝子検査はぜひ、受けることをお勧めしますし、経済的な観点から、難病の認定を受ける、受けないを決めることをお勧めします.