オスラー病の診断

 

臨床診断は、Curacao Criteriaを使って診断します.


診断基準


1.繰り返す「鼻出血」.

2.皮膚や粘膜の「毛細血管拡張病変」.

 (口唇、口腔、手指、鼻が特徴的で、他に眼球結膜や耳も).

3.肺、脳、肝臓、脊髄、消化管の「動静脈瘻(動静脈奇形)」

4.一親等以内にオスラー病の患者さんがいる.


以上の4項目のうち、

3つ以上あると確診 definite、2つで疑診 probable、1つだけでは可能性は低い unlikelyとされます.

注意点があります.

1.16歳上の患者さんに適応され、より若年には適応されません.

2.家族歴は、1親等以内の親族に、オスラー病の患者さんがいることですが.「オスラー病」と医者に言われた、「鼻出血が多い」だけでは、家族歴のポイントには数えません.

3.消化管の毛細血管拡張病変は、内臓血管奇形として考えます.

4.鼻出血の程度、頻度には定義はありません.繰り返す、自然に出る鼻出血とされています.


オスラー病の診断 (国際ガイドラインから)


G1: 専門委員会は、


臨床医が、クラソーの診断基準または原因の遺伝子変異を同定することでオスラー病の診断をすることを推奨します.


証拠のレベル III、(82%が同意).推薦の強さ:弱い


G2: 専門委員会は、


臨床医は、クラソーの診断基準の1項目以上の症状を持つ患者には、オスラー病の診断を検討することを推奨します.


証拠のレベル III、(91%が同意)、推薦の強さ:弱い


G3: 専門委員会は、


臨床医は、親がオスラー病であれば、子どもに症状がなくても、遺伝子検査で否定されない限り、オスラー病の可能性があると考えるべきであるとしています.


証拠のレベル III、(87%が同意)、推薦の強さ:弱い


G4: 専門委員会は、


臨床医は、以下の目的のために、オスラー病の遺伝子検査を患者に行うことを推奨します.


1.臨床的にオスラー病が確定した家族の原因となる遺伝子変異を同定するため.


2.既知の遺伝子変異が判明している患者の親族の診断をするため.

a. 無症状または最小限の症状がある人

b. 出生前検査を希望する人、を含む.


3. オスラー病の臨床診断基準を満たさない患者のオスラー病の診断を確認することを支援するため.


証拠のレベル III、(80%が同意)、推薦の強さ:弱い


G5: 専門委員会は、


ENGおよびACVRL1をコードする遺伝子に変異が認められなかった患者に対し、SMAD4の遺伝子検査も原因遺伝子変異を同定するために考慮されるべきとしています.


証拠のレベル III、(93%が同意)、推薦の強さ:弱い


「国際HHTガイドライン第2版の臨床推奨事項と国際HHTガイドライン第1版の現在推奨されている臨床推奨事項について」Annals of Internal Medicine, 2020の和訳版から